くしだんご

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ものがたりで学ぶ経済学入門

根井 雅弘
【ものがたりで学ぶ経済学入門】

 
※画像出典:amazon.co.jp公式

とある高校生と経済学者との対話形式をとっているので非常に読みやすいです。
最初の章をいくつか取り上げられたらいいなと。

グラスゴウ大学の道徳哲学者

誰?って最初思いましたが、アダムスミスのことでした。
アダムスミス=経済学者??
この理解は間違っていないのですが、彼を有名にしたのは「国富論」ではなく道徳感情論」

◆人間は利己的であるが、うまれたときからほかの人のことを気にかけずにはいられない
◆他人のことに深く心を動かし、自分のことにはほとんど心を動かさないことが大切
◆利己心よりも博愛心を持つこと
「中立な観察者」から見て「同感」できる行動をとれば社会はカオスにならない

外部からの刺激に対して、反応的に攻撃することは道徳感情論には反していますね。。

経済学生誕の地

経済学の父はスミス?
実はスミスの尊敬するフランソワ・ケネーがフランスにいました。

ケネーが外科医としての腕を買われてヴェルサイユ宮殿に部屋を与えられ、知識人との交流を通じて経済問題に関心を持ち、「経済表」を出版した。

ケネーは重農学派:農業が唯一の生産的産業と考える学派
ケネー登場前のフランスは重商主義:諸外国との貿易差額から得られる富を最優先

「経済表」によって、拡大ー単純ー縮小再生産モデルを提唱し、その中で「土地単一税」を提案した。
当時の制度では、勇気のいる提案です。
なぜなら、当時税を免除されていた貴族・地主階級に対して、農業、すなわち土地からの生産物のみが「生産的」であり、それは地主階級の収入であるから、租税は地主階級のみが負担すべきと主張したからです。

アダムスミス 国富論

重商主義への挑戦状:富とは貴金属ではない
国民の「労働」のみが「富」を生み出す源泉、すなわち
「富」=「消費財
ケネーが農業のみを生産的とみなしたのに対し、スミスは製造業も生産的としている。
スミスは「生産的」なものと、「非生産的」なものに分けて考えており、サービス業(家事使用人の労働など)を「非生産的」とみなした。
スミスの主張する富の増大:
(1) 生産的労働者の数を増やす。
(2) 生産力強化のための「分業」
ちなみに、分業は「市場の大きさに左右されるため、需要によって制約されるが、市場の拡大が見込めれば、供給を拡大するためにさらに分業を進めることができる」という好循環を仮定しています。

見えざる手の一人歩き

一般的な認識である「見えざる手」=「価格メカニズム」=「自由放任主義」というの正しくない。
個々人を権威や権力で強制するものではないが、個々人の持つ利己心は正義の限界の中で発揮され、国家社会の繁栄のために役立つようにあらねばならない

スミスの主張する国家の義務:「国防」「司法行政」「公共事業」

国家の義務という意味において、個人の力では回収できない利益であるが、社会全体にとってはその経費を回収して余るほど有益である。

スミスは、この3点は一挙に実現するものではなく、利害関係者に配慮しながら漸進していくとしているため、国益」を考える道徳的な主張を行っていた。

このあとに、マルサスリカード、ミルについての解説が続いていきます。
普段経済の本を手に取っていなくても読みやすいです!